ラマダンと春節が交差する朝。離れ離れの家族と、マレーシアで踏ん張る理由
マレーシアの空が白み始める朝。今日からまた、私たち母子だけのワンオペ生活が始まります。
「パパ、行っちゃったね……」
夫が日本へ帰国する日の朝は、いつも家の中がどんよりと重い空気に包まれます。気分が落ち込んでいる息子たちを励まし、なんとか学校へ送り出す。そして、私自身も深くため息をつきながら、気合を入れ直す。これが、月に一度繰り返される我が家の儀式です。
実は今、マレーシアは1年の中で最も特別で、そして少し不思議な空気に包まれています。それは、イスラム教の神聖な月「ラマダン(断食月)」と、中華系の「チャイニーズニューイヤー(春節)」が重なっているからです。
今回は、異文化が入り乱れるマレーシアの日常、ママ友から学んだ宗教のリアル、そして私たち家族が「離れ離れ」になってまでここで踏ん張る理由についてお話ししようと思います。
夫が帰った朝、またワンオペ生活が始まる
マレーシアの空が白み始める朝。今日からまた、私たち母子だけのワンオペ生活が始まります。
「パパ、行っちゃったね……」
夫が日本へ帰国する日の朝は、いつも家の中がどんよりと重い空気に包まれます。気分が落ち込んでいる息子たちを励まし、なんとか学校へ送り出す。そして、私自身も深くため息をつきながら、気合を入れ直す。これが、月に一度繰り返される我が家の儀式です。
ラマダンと春節が交差するマレーシアの食卓
私たちの住んでいるエリアはイスラム教色が強い場所です。そのため、ラマダン中は街の雰囲気がガラリと変わります。
イスラム教の方々は、約1ヶ月間、日の出から日没まで一切の飲食を絶ちます。日中は閉まっているお店も多く、フードデリバリーも捕まりにくくなるため、「うっかりしていると今日のご飯難民になる!」というサバイバルな一面もあります。一方で、夕方になると街のあちこちで「ラマダン・バザール(屋台街)」が立ち並び、まるでお祭りのような活気に包まれるのです。
そんなラマダンの最中、仕事でマレーシアに来ていた夫が、現地の方からたくさんのお土産をもらって帰ってきました。
袋から出てきたのは、チャイニーズニューイヤーの縁起物である大量の「オレンジ」、巨大なグレープフルーツのような「ポメロ(Limau Bali)」、そしてマレー系の伝統的なお菓子「Tepung gomak(お饅頭のようなもの)」。
中華系の縁起物と、イスラム系の甘いお菓子が、ひとつのテーブルに並ぶ。これぞまさに多民族国家マレーシアです。子供たちも興味津々で口に運んでいました。こうした異文化を肌で感じ、自然と多様性を受け入れていく子供たちの姿を見ると、「ああ、マレーシアに来てよかったな」と心から思えます。
ラマダン中のイオンモールで感じた気遣い
週末は、近くの「イオンモール」へ出かけました。お目当ては、リニューアルされたばかりのキッズパーク(室内遊び場)です。
マレーシアは一年中暑く、日本のように「近所の外の公園で遊ぶ」という文化がほとんどありません。休日の遊び場はどうしても巨大モールの中にある室内パークが中心になります。
たっぷり遊んで、時刻はお昼時。普段ならフードコートでサクッと済ませるのですが、この日は少し事情が違いました。見渡すと、お店の中はお客さんも店員さんもまばら。そして周囲を歩いているのは、断食中のイスラム系のマレー人の方々ばかりです。
「この状況で、目の前でガッツリご飯を食べるのは気が引けるね……」
夫と相談し、一度家に帰ろうかとも思いましたが、疲れ切った体でこれからお昼ご飯を作る気力はありません。結局私たちは、モール内で「一番人目に付きにくい、奥まった席がある韓国料理店」を選び、ひっそりと隠れるようにランチを食べてからGrabで帰宅しました。
イスラム教ママ友とのランチで知った「女性のリアル」
「断食中の人たちの前で食べるのは申し訳ない」とコソコソしていた私ですが、実は先日、こんな興味深い出来事がありました。
息子の学校で仲良くなった、インドネシア人のママ友とランチに行った時のことです。彼女は敬虔なイスラム教徒。ふと「あれ?今はラマダン中なのに、一緒にランチして大丈夫なの?」と疑問に思い、恐る恐る聞いてみました。
すると彼女は笑ってこう言いました。
「女性はね、生理の期間中は断食をお休みしてもいいのよ!」
なんと、体調への負担を考慮してなのか、月経中や妊娠・授乳中の女性は日中であっても飲食が許されているそうです。「今日は食べられる日なの!」と美味しそうにランチを頬張る彼女を見て、宗教の厳格さの中にも、女性の身体への合理的で優しい配慮があるのかなと感心しました。もっと深い理由もありそうだが💦
ただ、彼女はこうも付け加えました。
「でもね、休んだ分はラマダンが終わった後に、別の日できっちり埋め合わせ(断食)をしないといけないの。一人で断食するのは、みんなでやるより結構しんどいのよね……」と苦笑い。
夫の仕事先のイスラム教のスタッフもや「断食は大変だ」と言ってたようで。人種・宗教が違っても同じ人間なんだなと思った体験でした。
国や宗教、文化が全く違っても、女性特有の体のバイオリズムと付き合いながら、日々の生活を回している母としての姿は同じ。彼女のリアルな愚痴を聞いて、なんだかぐっと距離が縮まった気がした、とても嬉しいランチタイムでした。
1RM=40円の衝撃。円安に抗う夫の戦い
そして今日、夫は日本へと帰っていきました。彼がマレーシアに来るのは、単なる家族旅行ではありません。家族との時間の合間を縫って、マレーシアで事業を立ち上げるべく猛烈に動いています。
なぜそこまで急ぐのか。一番の理由は「加速する円安」です。
私たちがマレーシア留学を検討し始めた2年前、1リンギット(RM)は約32円でした。それが今、なんと1RM=40円付近まで高騰しています。単純計算で、生活費も学費も「1.25倍」に跳ね上がっているのです。(学費に関しては、円安に関係なく最近値上げがトレンドなのもとても辛い。)日本の貯金を切り崩すだけの生活では、遠からず限界が来ます。だからこそ夫は、円安に対抗するために「外貨を稼ぐ基盤」をマレーシアで作ろうとしているのです。
私たち夫婦には、老後を「地中海のような、のどかな海沿い」で過ごすという夢があります。でも、清潔で安全な日本の環境も捨てがたい。だから「気分によって行ったり来たりする」という贅沢な未来を描いています。
その未来のために、今は家族が日本とマレーシアで離れ離れになるという、いびつな生活を選びました。
SNSの「キラキラ」の裏側で
ふと、考えることがあります。教育移住や母子留学をしている他のご家庭は、毎日どんな思いで暮らしているのだろう、と。
SNSを開けば、優雅なランチやプールサイドの笑顔など、きらきらとした世界が広がっています。でも、みんな本当は、見えないところでもがいているんじゃないかな。ワンオペの孤独に泣き、円安にため息をつき、異文化の壁にぶつかっているんじゃないかな。
少なくとも、私はそうです。
また今日から、目の前の現実を生きる
夫がいなくなり、少し静かになった部屋。感傷に浸る暇もなく、今日からまた学校が始まります。息子たちの毎日の小テストも待っています(ちなみに今日は中国語のテスト!)。
まずは目の前の現実に向き合って、今日も1日、頑張らねば。
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ブログ読者の皆様へ。 ビザの要件や学校の評判は、日々コロコロと変わります(これぞマレーシア!)。 私のブログはあくまで「個人の体験談」です。 最新かつ正確な情報は、必ず以下の公式サイト等で一次情報を確認してくださいね。
- EMGS (Education Malaysia Global Services):学生ビザの公式窓口
- マレーシア移民局:Student Passの最新要件
- 外務省 海外安全ホームページ:治安情報の確認


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