マレーシアの夜は早いです。いえ、正確には私の体力が尽きるのが早いだけかもしれません。 時刻は午後7時。
「ママ、お腹すいた」
長男の声に、重い体を起こします。でも、キッチンに立つ気力は1ミリも残っていません。 作り置き? この湿気と暑さですぐに痛むし、油断するとすぐに虫が湧くこの国で、そんな丁寧な暮らしはリスクでしかありません。
私は無言でスマホを取り出し、パンダのアイコン「Foodpanda」(フードデリバリーサービス)をタップします。 届いたチャーハンとチキンを並べながら、頭の片隅で計算機が弾かれます。 「……また円安進んでる。この夕飯、日本円でいくら?」 胃がキリキリと痛みますが、今の私には時間を金で買うしか選択肢がないのです。
プシュッ。
正直に書くと、私は自分の心をなだめるために、最近毎日ビールを飲んでいます。
ビールが悪いわけじゃない。
でも、これが“唯一の回復”になってしまうと危ないのも分かってる。
だから私は、ビールを飲みながら「今日も生き延びた」って自分に言い聞かせています。
これが、優雅とは程遠い、母子留学2年目のリアルな夜の食卓です。
「のびのび教育」の裏にある、スパルタな現実
「マレーシアのインターナショナルスクール=勉強しなくていい」 もしそう思っている方がいたら、全力で首を横に振ります。
夕飯を食べながら、7歳の長男がこめかみを押さえています。 「頭痛い……スペリングが覚えられない」
英語のスペリングテスト。これがなかなかの強敵です。 インターナショナルスクールは、確かに日本の公立小のような「全員一律」の圧力はありません。ですが、「勉強しなくていい」わけではないのです。
特に焦りを感じるのは、クラスメイトの韓国人や中国人のママたちの熱量です。 彼女たちは、日本人よりはるかに「教育」に貪欲です。放課後のチューター(家庭教師)、習い事、そして家庭学習。 日本よりはるかに進んだレベルの授業内容と、それを軽々とこなしていく同級生たち。
「日本の教育環境から逃げてきたのに、ここでは世界レベルの競争がある」 その事実に直面し、私の焦りは募るばかりです。それでも、毎朝子供たちは重いリュックを背負って学校へ行きます。その小さな背中を見るたび、胸が締め付けられます。
先生がクッキーを完食? マレーシアの「昭和」な愛すべき適当さ
勉強はハードですが、学校生活は……なんというか、カオスです。
マレーシアあるあるですが、学校のイベントやパーティーのアナウンスは、**基本「前日」**です。 「明日パーティーするから、スナック持ってきてね!」 というメールが前日の夕方に届き、親たちはパニックでスーパーへ走ります。この急なタスクも、ワンオペ母さんのHPを確実に削っていきます。
先日も、急いでクッキーを焼いて持たせました。 子供たちが喜んでくれるかな、とワクワクしていたのですが、帰ってきた次男が一言。
「先生が『美味しい!』ってほとんど食べちゃった」 「……え? 子供たちは?」 「食べてないよ。先生がコーヒー入れて、これ最高だなって」
絶句しました。子供のために持たせたのに、先生がコーヒータイムのお供にするなんて! 日本では即クレーム案件です。でも、先生からの報告チャットを見て力が抜けました。 「お母さん、最高のクッキーだったわ! コーヒーにぴったり!」という満面の笑みのスタンプ。
怒る気も失せ、むしろ笑ってしまいました。 良くも悪くも、自分の欲求に正直で、他人の目を気にしない。 そして、誰の子かわからない子供でも、頭を撫で、声をかけ、地域全体で面倒を見る。
ここには、今の日本が失ってしまった**「昭和の空気」**があります。 いい加減だけど、温かい。その緩さが、過呼吸になりそうな私を、ふとした瞬間に救ってくれるのです。(もちろん、治安には気をつけなければなりませんが)
「転校」は日常茶飯事。母の学校リサーチメモ
さて、そんなこんなで2年目を迎えた私たちですが、実は今、**「転校」**を考えています。 マレーシアでは、転校はネガティブなことではありません。「合わないな」と思ったら、あっさりと次へ行く。この身軽さが魅力です。
次の学校候補として、私の独断と偏見(とママ友ネットワーク)で集めた情報を、備忘録として残しておきます。 ※あくまで噂ベースの個人の感想です!最新情報は必ずご自身で確認してくださいね。
- スリKDU(Sri KDU)今、一番勢いがあると言われる学校の一つ。韓国人、中国人、そして日本人に大人気。 【メリット】しっかり勉強をさせてくれる。ネイティブの先生が多い。施設が綺麗。 【気になる点】見学に行ったママ友いわく、「アドミン(事務局)の対応が良くなかった」。人気校ゆえの殿様商売なのか? 鼻にかけている感じがしたという噂も。
- フェアビュー(Fairview)IB(国際バカロレア)で有名な老舗。 【メリット】カリキュラムがしっかりしている。 【気になる点】やっぱり学費が高い! そして最近、先生が変わって以前より厳しくなったという噂もちらほら。
- クランブリッジ(Cranbridge)【気になる点】KL(クアラルンプール)エリアにあるため、最近ビザの取得が厳しいという情報あり。 「KLでの教育ビザ取得が難化している」という話はよく聞きます。個人申請だと跳ね返されることも多く、エージェントを通さないと難しいかも……という懸念点。
- ハビル(Havil International School)比較的、広く受け入れてくれるという評判。アットホームな雰囲気?
- ツリートップ(Tree Top International School)受け入れ人数は少なめ? ただ、知人の特性のある子どものマレーシア留学事情に詳しいユーチューバーさま(ご希望あればお教えします!)の情報によると、**「IGCSEもディスレクシア(読み書き困難)用のオンライン試験対応をしてくれている」**とのこと! 発達に特性のある長男には、こういう配慮がある学校が合うのかもしれない……と心が揺れています。
それでも、子供の顔つきが変わった
毎日がトラブルと選択の連続で、母の心は休まる暇がありません。 でも、ふと思うのです。
日本にいた頃、あんなに自信なさげだった長男が、今は拙い英語でタクシーの運転手さんと喧嘩(?)しています。 勉強は大変だし、理不尽なことも多いけれど、学校以外では本当の意味で「のびのび」している。 子供たちの顔つきが、日本にいた時とは明らかに違うのです。
マレーシア社会の「緩さ」と「適当さ」が、凸凹のある彼らを優しく包み込んでくれている。 矛盾しているようですが、「勉強はハードだけど、子どもを包んでくれる社会」。 それが、今の私たちの実感です。
さて、転校先はどうするか。ビザの問題(母子留学ビザは降りるのか?)も立ちはだかります。 まだまだ私の戦いは続きそうです。
次回は、私が実際に体験した「マレーシアの病院事情」と、驚愕の医療費についてお話ししようと思います。 (長男の熱性けいれんで救急車を呼んだ話、聞きたいですか……?)
※重要:情報の取り扱いについて
ブログ読者の皆様へ。 ビザの要件や学校の評判は、日々コロコロと変わります(これぞマレーシア!)。 私のブログはあくまで「個人の体験談」です。 最新かつ正確な情報は、必ず以下の公式サイト等で一次情報を確認してくださいね。
- EMGS (Education Malaysia Global Services):学生ビザの公式窓口
- マレーシア移民局:Student Passの最新要件
- 外務省 海外安全ホームページ:治安情報の確認


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